by 谷崎 聖子
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イーラーショシュを探してカロタセグの村を歩いて訪ねるようになったのは、 3年ほど前のこと。 80年代にトランシルヴァニアで出版された図案集以降、 イーラーショシュの現在を知らせるものはすっかり途絶えてしまった。 社会主義時代が終わり、 2000年に入って人々の生活も大きく変わり、 今も昔ながらのやり方で手芸の伝統が続いているのだろうかという不安もあった。 そんな中、出会った図案描きのブジおばあさん。 村でただ一人、イーラーショシュの伝統を守りながら暮らしている。 70年代から必死でかき集めた図案が描かれた油紙の束を見、 皺だらけの指先から美しい花模様が生き生きと描かれていくのを見たとき、 イーラーショシュの本を作りたいという気持ちが芽生えた。 布の目数を数えて図案を生み出すクロスステッチなどの刺繍に対し、 イーラーショシュは、まず図案を描くことからはじまると言っていい。 カロタセグでは、図案をそのままに写すのではなく、 図案の描く人の感性のおもむくまま、 時に形を変えながら、時に新しいモチーフを加えながら創作していく。 そのため、まったく同じものが作られることはほとんどない。 本の制作のために、ブジおばあさんにひとつ図案を注文した。 80年代ごろに流行をはじめたものに、 水差しやプレートの図案がある。 もともと、清潔の部屋には昔から高価とされる品をきれいに並べ、 やがてそれは少女の嫁入り道具となって運ばれていく。 壁いっぱいに絵のように並べられた絵付け皿や水差しは、 その家の富を象徴するもの。 壁を飾る水差しをイーラーショシュで作りはじめたのが流行し、 やがて国道沿いの土産物屋にも並ぶようになった。 ブジおばあさんはたんすの中から、 大切にしまってある厚紙の型を取り出した。 今はもうボールペンという便利なものもあるけれど、 昔ながらのやり方でガラスのペンにインクを浸しながら ゆっくりと丁寧に時間をかけて線を描いていく。 厚紙の山の中から、こんな型も見つけた。 現在までつづくトランシルヴァニアの糸のメーカー、 ファルマチエのネコの刺繍糸の巻紙。 そして社会主義時代の古い硬貨。 こんな風に身近にあるものを利用しながら、生活に生かしていく。 しばらく外出していて、戻ってくると、 「大変。失敗してしまったわ。」とおばあさん。 線を余分に一本、花の図案の部分に入れてしまったとのこと。 この時描いてもらったブジおばあさんの描いた水差しの図案は、 (間違えた部分を後に修正して)「イーラーショシュ」の本の見開きのページに、 昔のままの油紙に印刷されている。 昔ながらの手織りの麻布に、 青く線をにじませた図案がやがて赤や青の刺繍糸で 少しずつ埋め尽くされていく様子は、なんともいえない喜びである。 カロタセグ地方の村々で、 これからも女性たちが針を持ち、 美しい刺繍を生み出していく姿が見られるように願ってやまない。 村に生きるたくましくて優しいおばあさんたちに、 心からの感謝の気持ちを込めて・・。 秋にカロタセグの村をいっしょに周っていただいた 編集者の小山内真紀さんに、カロタセグの伝統をご理解いただき、 また忍耐強くこの仕事を支えてくださったことを 感謝いたします。 イーラーショシュの旅のはじまりは、こちらにてご覧いただけます。 イーラーショシュのおばあちゃんとの出会い 日本で初めてイーラーショシュを紹介した本、 トランシルヴァニアの伝統刺繍 「イーラーショシュ」 谷崎 聖子 文化出版局
by tououzakka
| 2013-06-07 15:49
| イーラーショシュ
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