by 谷崎 聖子
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とんがり屋根の教会は、 古くからカロタセグ地方のシンボルとして知られていられます。 小高い丘にすっと気高く立ち誇るカルバン派教会。 教会の中は、白いカットワークと赤いイーラーショシュが 呼吸をそろえて共存しています。 この両者は、繰り返す流行の波で どちらかが優勢になり、もう一方が劣勢となったりします。 今では白いカットワークが主流のようで、 目新しい白いタペストリーを裏返すと、 日に焼けた古いイーラーショシュに出会えることもあります。 イーラーショシュは、かずかずの流行の波で 浮かんだり沈んだりしながら今に伝えられてきました。 19世紀末20世紀はじめにかけて、 カロタセグ地方がはじめて注目を浴びるようになると、 イーラーショシュは女性たちの憧れの的となりました。 やがて70年代のハンドメイドブームによって、 今度は都市の女性たちの手によって刺しゅうがされるようになります。 一方カロタセグ地方では、手芸の本などではなく 人から人へとその伝統がつづいています。 1980年にトランシルヴァニアで発行された、 「カロタセグのイーラーショシュ」という図案集は、 唯一のイーラーショシュに関する本です。 著者のシンコー・カタリンさんに出会う事ができました。 ちょうど青いイーラーショシュに取り掛かっているところです。 実は彼女自身も、図案を描く職人さんでもあります。 彼女自身が村の出身で、 70年代からイーラーショシュの図案を収集するようになりました。 その膨大な量ときたら、他に類をみることがありません。 3つ4つの村を合わせただけで、300ほどのモチーフです。 工夫に工夫を重ねて、その図案をより美しく、より華やかなものへと 作り変えていった様子がうかがえます。 ベッドカバー、ピロカバー、ロングクロス、ブラウス・・・、 イーラーショシュは、用途によって使う図案も限られていました。 古くはどの家庭にも、花嫁道具の名残である 飾りベッドが置かれていました。 花嫁の「美しい手」が見て取れるように、 枕の底の部分だけが刺しゅうされました。 刺しゅう、鍵編み、カットワーク・・・、 花嫁の手芸の技量をはかる展示場のようです。 カタリンさんにお願いをして、一番古いイーラーショシュを見せていただきました。 結婚式で指揮をとる若者が使ったといわれるロングクロス。 式のあとは、新婚の家庭で飾りとして使われます。 たんすがなかった古くには、 天井に棒をつるして、そこに衣料をかけておいたのですが、 このロングクロスも結婚式の記念としてかけられるようです。 その刺しゅうの密集度には、思わず目をみはるほどです。 遠くからは、ただの黒に見えるその刺しゅうは、 よくよく近くで見てはじめてその美しい模様に気がつきます。 「 裏返した方が、図案がよく分かるくらいよ。」とカタリンさん。 触れてみると、固い紐のようです。 イーラーショシュの長い線が、ジノル(紐)と呼ばれるのもこのためでしょう。 イーラーショシュだけでなく、 サテンステッチでところどころを埋めているようです。 白い面を塗りつぶさんばかりの迫力ある刺しゅう。 「 この縁のモチーフは?」とたずねると、 現在縫われているピロカバーを見せてくれました。 「マヨランナ(マジョラム)よ。」 確かに同じなのに、どこかが違う。 昔の人たちは、どのような想いをこめて ここまでにモチーフをびっしりとひしめき合うように 縫い込んできたのでしょう。 これは、カロタセグ女性の正装に使われるヴァールフシュイング。 肩に刺しゅうが施されたブラウスです。 イーラーショシュの原型のひとつが、 うずまき模様やモミの葉のような幾何学模様。 どこか呪術的なものが漂うような、果てしなく繰り返すモチーフの集まり。 古い民家は教会の持ち物として、 展示場となっています。 結婚という人生の節目がいかに大切であったかが偲ばれる、飾りベッド。 古い手仕事は、その作り手も持ち主をも見届けながら、 当時の息づかいを今に伝えています。 イーラーショシュは その時代時代で、作り手の嗜好の変化をうけながら 変化をとげてきた刺しゅう。 今はハンガリー、トランシルヴァニアと どこにででも見られる刺しゅう、 誰にでもできる刺しゅうと親しまれています。 ここカロタセグ地方の一部の村では、 今も古いイーラーショシュの名残をのこしながら、 女性たちの手によって新たな作品が生まれています。 イーラーショシュの曲線に 心を奪われたなら。 にほんブログ村 *もうひとつのブログにて、 この日の出来事を詳しくご紹介しています。 イーラーショシュのおばあちゃんとの出会い
by tououzakka
| 2011-03-29 15:01
| 手芸の旅
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