by 谷崎 聖子
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「布」とかかれた旗がたなびく、広々とした作業場。 鹿児島の吉野という高台にある、 身障者の施設の中にそのアトリエがある。 しょうぶ園は、 障害者の支援事業としてはじめた工芸部門。 その中のひとつが、Nui Project(ヌイ・プロジェクト)。 「 もともと大島紬の下請けとして 機織の作業所だったんです。 ところが機織は高度な技術を必要とするし、 機織機が足りないので、 もっと簡単に取り組める 刺しゅうを教えることになりました。 はじめ、ぐし縫いからはじめたのですが、 まっすぐに縫うことができなくて。 それなら、好きなように縫ってもらおうとしたところ、 あんなスタイルが生まれたんです。」 スタッフの・・・さんが、お話してくれた。 扉を開けると、 すぐに目に飛び込んできたのが ずらりと並べられた作品。 刺しゅうの着物は、 色が押しあい引きあう。 自由でのびのびとした線と、 ドキッとするような色や素材の組み合わせ。 常識破りの刺しゅうの仕方は、 ただ整った針目で美しく作るという 手芸の既成概念を大きく覆すもの。 工芸品というよりも、アート。 意識的でなく、無意識の世界。 みな下をうつむき、 一心に針を刺しつづける姿は真剣そのもの。 おしゃべりをするでもなく、 それぞれが自らの作品だけに没頭しているようである。 年齢も性別もさまざま。 奥のスペースでは、 ぐし縫いで作られた2~4cmほどの小さな袋が、 床一面にばら撒かれている。 デリケートな壊れ物を扱うかのように 慎重に置き、並べている男性。 白い糸が、壁際からクモの巣のように 伸びているのに、その無数の袋とつながれているわけではない。 それでもなお、その糸と小さな袋はふたつでひとつの作品。 彼のテリトリーに入ると、 注意深く見張られているようなまなざしを感じる。 ヘッドホンで音楽を聴きながら、 民謡を口ずさんでいる女性。 カメや女の子などのかわいらしい絵柄を見ると、 思わず笑みがもれる。 「 この人はね、布の端ばかりを刺すんです。 どんなに大きな布を出しても、いつも端ばかりで 真ん中は絶対に刺しゅうしないんです。」 触ってみると、本当に固い。 何度も何度も糸を重ねて、 布が立体の造形物と化している。 「 同じものばかりを作っても パターンが決まって面白くないので、 あえて、別の素材を与えることもあります。」 そこから、意外性が生まれ、 作品に変化が生まれるのだろう。 「 テクニックに関しては、 ほとんどこちらから教えることはありません。 ただ新しい技術がもたらせれることによって、 その作品に広がりが生まれると判断したときには、教えることもあります。」 また、刺しゅうされた生地を、 バッグやタペストリーなどに作り変えることもあるという。 作者ひとりひとりの個性を引き出し、 アート作品へと発展させる。 スタッフたちは、よきプロデューサーでもある。 子どもには、周りをみながら学習するという 特徴があるが、彼らの場合はどうだろうか。 「 いいえ。 彼らには周りはなく、あるのは ただ自分の世界だけですね。」 ひとりとして、誰かと同じ作品をつくる人はいない。 「 恐らく、好きでやっているという意識ではなく、 仕事だから刺しているのだと思います。」 布に向かう彼らの姿勢は、 まさに職人のそれである。 刺しゅうとは、同じことを繰り返すことによって生まれる 重複の美。 彼らの純粋な精神が生み出す刺しゅうには、 繰り返すことへの痛々しいほどの固執、執拗さも感じられる。 糸によって紡ぎだされる、 有機的なかたち。 生命のリズム、躍動感。 今日も彼らは ただ一心に針をもち、 糸を重ねつづけるだろう。 そのなかに最大の美を見出す しょうぶ園のスタッフの方々の大きな力によって、 Nui Projectは支えられている。 刺しゅうのパワーに魅せられたなら・・。 にほんブログ村 *しょうぶ園、Nui PrpjectのHPは、こちら。
by tououzakka
| 2010-03-21 18:49
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