by 谷崎 聖子
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ハンガリーの国境近く、 大平原と呼ばれるこの地方の手芸は、 色鮮やかでおおらか。 数あるブラウスの中でも、特にお気に入りなのが、 この大平原地方の刺繍ブラウス。 ホームスパンの布がハードな質感ですが、 そのボリュームに負けない大きめのクロスステッチ刺繍の存在感。 刺繍のためにずっしりと重くなった袖部分の美しさ。 赤と青の星の大きなモチーフが繰り返され、 カフス部分の刺繍へとつながっています。 その先は、何重にもレースが重ねられています。 こちらは赤と黒の刺繍ブラウス。 前が開くタイプなので、おそらく授乳ができるように 若い奥さんのものでしょう。 花が紋章のようにデザインされたモチーフ。 袖のつなぎ目部分は、かぎ編みで美しい模様が編まれています。 肩と袖とつなぎ目と、カフス部分。 それぞれ、違う模様なのにしっくりと組み合わされています。 最後は男性のシャツ。 こちらは返し襟と肩、カフス部分の ポイントだけがしっかり刺繍されています。 赤い花が、青い斜めのラインによって区切られ、 さらに斜めボーダーのラインで縁取りされています。 波模様に編まれた縁編みが、 さらに刺繍を立体的に見せているようです。 刺繍の厚い肩部分は布が別付けしてあるのですが、 後姿もこの通り美しい。 背中の細やかなギャザーも、男性の背中を優雅に見せています。 大平原を色鮮やかに彩るブラウスたち。 羊や牛たちの群れを率い、この色鮮やかなブラウスが 遠くからでもはっきりと見渡すことができたことでしょう。
by tououzakka
| 2013-03-09 16:26
| Transylvania
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