by 谷崎 聖子
カテゴリ
全体 shop info ICIRI-PICIRI Transylvania 手芸の旅 イーラーショシュ exhibition カロタセグのきらめく伝統刺繍 handmade Guest my favorite Trip 未分類 最新の記事
My Shop&Blog&・・・
ヴィンテージ雑貨のお店
東欧雑貨ICIRI・PICIRI フォークアート、手芸のお店 FOLKART Transylvania トランシルヴァニア発ブログ トランシルヴァニアへの扉 ICIRI・PICIRIのリメイク作品が買えるShop twelveseventeen echo フォロー中のブログ
girlish*style iinn4 twelve seven... めがねの箱の中 Repka Olejka* Naki's MIEKO SUZUK... mielilei twelveseventeen マゼコゼ日記 iroiro ロシアから白樺細工 丁寧な生活をゆっくりと echoの日常便り IgaTago 以前の記事
2018年 09月 2018年 08月 2017年 05月 2016年 10月 2016年 02月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 03月 more... ライフログ
検索
その他のジャンル
ブログパーツ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
100年前の女性たちが胸をときめかせたもの、 それは繊細なバラ模様のステッチされた既成のリボンでした。 不思議と私たちはないものねだりをするのが常で、 完璧な機械によって生み出された刺しゅうこそが、 当時の女性たちの憧れでした。 村の女性たちはこのビロードのように輝くバラのリボンは、 西洋の異国の香りただよう、飛びきり洗練された何かであったに違いありません。 一番贅沢にリボンで飾りつけられたものを、 パーントリカ(刺しゅうリボン)のエプロンと呼んでいます。 刺しゅうの腕が発揮されるのは、ウェストのベルト部分。 スモッキング刺しゅうは、細やかなギャザーを安定させるだけでなく、 細やかな蜂の巣もようという鮮やかな装飾を生み出しています。 赤、黄色、青のトリコロールはルーマニア人のしるし。 カロタセグ地方のルーマニア人もまた、 ハンガリー人と同じエプロンを装っていた時期がありました。 カロタセグに住むルーマニア人は、このエプロンをムスイと呼びます。 ムスイとはもともとトルコから伝わった生地の名前ですが、 カロタセグ地方のハンガリー人特有のすそを上げてはくオーバースカートのことをいいます。 ともあれ、ハンガリー人とルーマニア人が ともに同じ手芸文化を共有していたという事実は面白いことです。 もうひとつのパーントリカのエプロンは、年代がさらに古いもの。 鈍い光沢をもつリボンの色や、 さらに繊細な花模様のデザインからも、それが感じられます。 スモッキングもより細やかになります。 クテーシュと呼ばれる接続部分が、装飾としてではなく 機能として刺しゅうされていることがうかがえます。 その光り輝くステッチは、宝石のように見るものの目をとらえて離しません。 ぎゅっと伸縮した、ギャザーという美学。 それは100年前の女性たちが尊んできたものです。 見えない柄に対する好奇心と深い色の重なりによる立体感は、 ぞくぞくと鳥肌を立たせます。 ずっしりと重いエプロンを裏返して見るとき、 その作り手に対する畏敬と愛おしさの情で胸がいっぱいになります。 完璧は手仕事は、裏までが芸術品なのです。 ひとりの女性の生涯を鮮やかに彩ってきた美しい衣装。 それは、また親から子へと伝わることによって、 これからもずっと生きつづけます。 パーントリカ(刺しゅうリボン)のエプロン。 祝祭の日に装う極上のエプロンとして、 今もカロタセグの女性たちに愛されています。
by tououzakka
| 2011-11-23 15:19
| カロタセグのきらめく伝統刺繍
|
ファン申請 |
||