by 谷崎 聖子
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アーラパタク村は、古くから 手仕事の盛んなところとして知られていました。 19世紀末のオーストリア・ハンガリー帝国時代は、 隣村のエルーパタクは、 ヨーロッパ諸国の貴族たちが こぞって集まる保養地だったといわれています。 長く続いた社会主義時代に、 こうした文化が一気に崩れさり、 荒廃に身を任せるようになりました。 翼の王国5月号の特集、 「おばあちゃんの針仕事の部屋」でも 取り上げられました。 エメラルド・グリーンの壁に一面に埋め尽くされた、赤い刺しゅう。 ソファーに腰かけ、 一心に針を動かしているおばあちゃんが、ピロシュカさん。 伝統的なモミの葉のモチーフのタペストリー。 赤いバラに天使のクッションは、 古い都市文化の面影を残しています。 お鍋の底に描かれた時計版、 持ち手には刺しゅうのステッチみたいな模様。 おばあちゃんの名前が、 クロスステッチで縫われたハサミいれ。 廊下にだって、 いたるところに刺しゅうが見つかります。 ドアの上の飾りは、 ドラペリア(カーテン)と呼ばれるもの。 バラのクロスステッチに、レースの縁取りが ひらひらと揺れている。 長い年月で色がなじんだ ホームリネンに、赤いバラと黒のリーフ。 向かい合う天使が、可愛らしい。 まるで時間が止まったかのような空間。 タペストリーやクッション、お人形、 どれもが何十年もそのままに 部屋を守っているかのようです。 可愛いお人形さんには、 ミニチュアのベッドにちょこんと腰掛け、 なんて贅沢な、ピロカバーとベッドカバー。 「 はじめはクロスステッチじゃなくて、 このネット刺しゅうからはじめたのよ。」 テーブルには、若い頃のおばあさんの作品がかかっています。 ひときわ目を惹くのは、 真っ赤なバラのサテンステッチ。 「 これは、私のお母さんが刺したのよ。」 ピロシュカおばあさんの腕は、母親譲り。 グリーンのシルクの織り生地は、 アンティークのもの。 かつて高価だった素材なので、 農村ではごく一部の、 恵まれた家庭にしか手に入らなかったという。 おばあさんのお母さんの時代には、 この村でもカロタセグやセークのように 枕をつみあげた手仕事の部屋、 「清潔の部屋」が残っていたそう。 その時代の名残のピロカバーには、 枕の端にくるところにのみ刺しゅうが施される。 こちらはアンティーク・レース。 赤のサテン生地を中に入れて、 繊細な白い糸の合間を、 光沢のある赤が輝き、照らしだす。 アーラパタクの刺しゅうのモチーフには、 起源を古く中世に遡るものも多い。 こちらは、17世紀トランシルヴァニア公国の 貴族の紋章をかたどったもの。 「バートリ家の王冠」と呼ばれる。 オーストリア、ハプスブルク家の紋章の 2つ頭の鷲のモチーフ。 石造りの民家では、美しいばかりでなく 防寒のためにもタペストリーが使われています。 古い古いクッションカバーは、 おばあちゃんのそのまたおばあさんの作。 中心のブルーの格子のステッチは、 彼女でさえできないという。 布の繊維を引きぬいて 周りをかがり、またその上に刺しゅうがされる細やかさ。 赤に鮮やかなブルーが、なんて素敵。 記事で写真に写っていた部屋は、 このエメラルド・グリーンの壁の居間です。 白いくらげのような、 レースのランプシェイドも素敵。 三角形のモチーフは、 「必須モチーフ」と呼ばれるほど、 嫁入り道具の中に欠かせない模様だったそうです。 アーラパタクの刺しゅうの模様は、 決して派手ではありませんが、 メリハリのあるリズムのよいデザイン構成。 この村にしか見られない、 古くから伝わるモチーフの宝庫でもあります。 アーパタクに特徴的なのは、 この小さな棚飾り。 横に並んだ連続模様が なんともさり気なくて、お洒落なんです。 ほんの少しの布だけで、 こんなにも印象が変わります。 アーラパタクの教会も、 地元の女性たちの手仕事で彩られた空間。 バイブル・カバーや、賛美歌カバーとして使われ、 今もなお、人々の生活を潤しています。 ピロシュカおばあさんの 手仕事の部屋は、 展示室のような綺麗すぎる空間ではなく、 そこで生活する人たちの息づかいが 肌で伝わってくるものです。 過去と現在が混在する、 不思議の国に迷い込んだようでした。 ピロシュカおばあさんの生涯の作品に、 心を打たれたなら・・。 *トランシルヴァニアへの扉の記事、 アーラパタクの宝石では ピロシュカおばあさんの作り手の想いがつづられています。
by tououzakka
| 2010-05-25 15:07
| 手芸の旅
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