by 谷崎 聖子
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最近のうちの息子のお気に入りは、塗り絵。 「 ママ、ミンタ(模様)を書きたい!」というと、 私は刺しゅう図案集を持ってきて、 うえから紙をしいて、 ペンでその模様を写します。 お気に入りは、こちらの本。 1986年に刊行された、 レンジェル・ジュルジの「祖母からの遺産」。 こちらは手芸としてだけではなく、 フォークアート研究の本としても 貴重なものです。 レンジェル・ジュルジは美術史からの立場で、 ハンガリーとその周辺の手芸を 幅広く紹介し、分析しています。 ハンガリーの民俗モチーフが どのように変化をとげてきたかを、 モチーフや、色彩や配置において 明らかにしようとしています。 それが、子どもの絵の教科書としても いかに優れているかをご紹介します。 こちらはブログの記事でもご紹介した、 カロタセグ地方のイーラーショシュ。 太く力強いラインと、 王冠をかぶったようなチューリップの デフォルメされた形が個性的。 テーブルクロスの、縁を飾るもようです。 そして四つ角には、大きなハートもようがきます。 一色のはずの刺しゅうもようが、こんなにカラフルに。 ハンガリーの大平原、マチョー地方の 男性のシャツの刺しゅう模様。 ハンガリーでも最も華やかな男性の衣装が、この地方。 振袖のように長く、カラフルな花模様の刺しゅうで いっぱいのシャツは、パリのヴォーグ誌でも紹介されました。 かつては白でカットワークされたものだったようですが、 チューリップや星の花、 か細い曲線、ローズマリンの葉っぱなどが描かれています。 ブルー系のさわやかな花、茶色の小花がアクセントです。 ハンガリー南部、カロチャ地方の花模様。 今でこそお土産やさんで見られる、 キッチュ、カラフルな花ですが、 昔は色ももう少し統一感があったようです。 チューリップとハートの縁もようがキュート。 ハンガリー西部の、 1800年ごろに作られたシーツ、 リネン生地に、ウール糸で刺しゅうされたもののようです。 レンジェルは、古いイタリアの陶器の壺のもようから きた模様ではないかと指摘しています。 壺からのびるのは生命の樹で、 その先にはチューリップやバラの花、 小鳥が描かれています。 また図案の配置やモチーフの密度は、 ルネサンスの貴族刺しゅうの影響をうけているそうです。 こちらは自宅のセーケイの花もようのいす。 バラに、忘れな草、オレンジの実・・。 息子が自分で描いた花模様。 チューリップを思いえがいたようですが、 彼岸花みたいにも見えます。 最後にアーティストの登場。 お気に入りの絵をもって、 「 ほら、こっち向いて。」 やっと笑ってくれました。 普段、絵を描くことがない 私の腕も鍛えられたようです。 民俗モチーフは、子どものこころも夢中にさせるようです。 ハンガリーの花模様と 子どもの絵の競演、いかがでしたか?
by tououzakka
| 2009-11-09 19:16
| handmade
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