by 谷崎 聖子
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「 カロタセグ地方は、ムスイ(バガズィア)の広まっているところまで続いている。」 と言われるほど、カロタセグ地方を象徴する民俗衣装は ムスイと呼ばれるスカート。 20世紀はじめまでは、 日常着として着られていたこのスカート。 「 昔は、これで乗馬をしていたのよ。」 と村のおばあさんが語ってくれたこともあった。 その一番美しい洋服を、 普段着に着ることができるなんて、 いったいどんな気持ちだろう。 ずっしりと重いプリーツスカートのヒミツは、 すそにある。 腰の刺しゅう部分とすその刺しゅう部分が表裏となっているので、 はじめに見るとあれっと思うことに違うない。 プリーツスカートをはいてから、 すそに通っているひもを持ち上げて結ぶ。 濡れたような黒のスカートが、 ひらりと持ち上がって、 鮮やかな刺しゅう入りのフェルト生地が現われる。 先のとがったかたちは、まるで折鶴のよう。 刺しゅうされたベルト部分は、 前ではなくて後ろにくる。 モザイクのような、細やかなニードルワーク。 すそを広げると、円形になるほど たっぷりと用尺のあるスカート。 フェルトなので、たっぷりとした質感であたたかい。 オレンジのフェルトに、シルクの刺しゅうが 宝石のようにキラキラ光っている。 鉢からのびた植物のモチーフは、 ルネサンス時代に広まったといわれている。 今なお、ムスイを作るという職人さんがいると聞き 村をさがし歩いた。 やっとたどり着いたお宅では、 おばさんがプルーンを煮てジャムを作っているところ。 ムスイを見たいことを告げると、 すぐにティスタ・ソバに案内してくださる。 「 まだ改装中なのよ。」と言いながらも、 洋服棚を空けてくださる。 中には、くるくるに巻かれたスカートたち。 その中から、黒いスカートのすそをそっと開いて 見せてくれた。 「 これは、最近作ったムスイ。 ミシンでフリーステッチして、作ったもの。」 いかにもカロタセグらしいチューリップもようが、 何層にも重なった刺しゅう糸で浮き彫りにされている。 手刺しゅうのものが見たいと告げると、 今度は大切そうに、ずっしりと重たそうなスカートを持ってきて、 すそを広げてくれた。 見たかったのはまさしく、こんな刺しゅう。 ずっしりと重みのある糸の重なり、 うす暗い部屋のなかでもはっきりとした かがやきを放つ、その色と光沢。 生命の樹のモチーフは 色とりどりに花を咲かせ、 赤い鳥がさえずる。 生地のつなぎの部分を、こんなに 美しいボーダーもようで飾りをつける。 「 なんて、かわいいこの星のモチーフ!」というと、 「 ここだけは、孫娘がさしたのよ。」とおばさん。 若々しいパワーで満ちあふれるよう。 この刺しゅうされたフェルト部分は若い女性ほど 太く、鮮やかな色になるという。 若い娘がいる母親は、 「 娘と同じような衣装は着たくない。」とムスイを着なくなるようだ。 または着たとしても、「もう一度お嫁にいきたいかと思われて、 村のみんなになじられる。」といって、暗い色のみを着ていたということ。 もうすでに日常着ではなくなってしまった、 カロタセグの衣装。 いつか、またこんなに美しい日常着を着た 女性たちを見ることはできるのだろうか。 ムスイの刺しゅうにカロタセグ女性の 美しさを見出してくださったら・・・。
by tououzakka
| 2009-10-06 22:55
| 手芸の旅
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